夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
人生で必ずぶつかるもの、それが「逆境」です。
誰しも順風満帆とはいかず、いつかは逆境に潰されそうになるものです。
- 「逆境」を乗り越えた先に、何があるのか?
- そもそも、どうやって乗り越えていけばいいのか?
あなたは逆境に対して、どのようなイメージを持っていますか?
安全な道をとるか、危険な道をとるか。
迷ったら、危険な道を選べ。
岡本太郎
【航海】人はなぜ、「逆境」に飛び込むのか
逆境って、どこ?
「逆境」の正体とは、何なのでしょうか?「逆境にいる」「逆境を歩む」「逆境に立たされる」という言葉の使い方から、私たちは「逆境」という形ないものを、どこかの場所のようにイメージしています。一方で、「逆境を跳ね返す」「逆境に立ち向かう」「逆境を乗り越える」という表現から、邪魔するようにぶつかってくるものとしてもイメージしています。
逆境は果たして、「場所」なのか、「障害物」なのか?ただの言葉にすぎませんが、言葉には長い歴史の中で、人々が学んできた教訓が詰め込まれています。「単語」こそは、世界で最も短い自己啓発書です。長い歴史の中で使われてきた言葉の中に、逆境というものの真の姿と、その乗り越え方があるのかもしれません。
逆境という字をよく見てみると、不思議なことに気づきます。「逆」という字が使われているのは、わかります。しかし、「境」という字が使われているのはなぜでしょうか?
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
川端康成の「雪国」の有名な一説です。「国境」とは国と国が接するボーダーラインです。と考えると、「逆境」も何かのボーダーラインのように思えますが、「逆境」は「線」ではなく「面」のイメージが強いものです。この「境」という字を調べてみると面白く、「境界線」という意味だけではなく、「場所」という意味も持っているのです。では、「場所」を意味する字ならほかにもある中、なぜ「境」という字を使うのでしょうか?それは、「境」という字は、「どこか遠い場所」という意味を含む字だからです。
「境内」という言葉があります。神社やお寺の敷地を指す言葉です。寺社仏閣は昔から、里から少し離れた所につくられ、神聖な場所として扱われました。「境内」は村の中にありつつも、神聖な、どこか遠い場所だったのです。このほかにも「異境」「秘境」「辺境」など、「境」はどこか遠い場所を意味しています。「村境」や「国境」が中心部から離れた場所にあるように、「境」は旅路の果て、どこか離れた場所をイメージさせる言葉なのです。
では、「逆境」とはどこなのでしょうか?広大な「場所」であり、積極的にぶつかってくる「障害物」であり、旅路の果てのどこか遠いところ。それは、「海」ではないでしょうか?それも、嵐のように荒れ狂う海。荒海は場所でありながら、激しい波で旅人の行く手を阻む「障害」です。船はそんな荒海、荒波に立ち向かい、跳ね返し、乗り越えて進んでいくのです。
日本は、すぐそばの海は穏やかですが、船で一日も進めば、世界でも有数の荒海が待ち受けています。歴史を紐解くと、遣隋使や遣唐使は、荒海との戦いの歴史。数多くの船が沈んでいきました。ある船は逆境に呑まれ、ある船は逆境を跳ね返し、乗り越えていったのです。そんなイメージが「逆境」という言葉に残っているのかもしれません。
なぜ、逆境に飛び込むの?
人はなぜ、自ら逆境に飛び込むのでしょうか?荒海だとわかっていれば、なにも飛び込むことなんてなさそうなものです。安全な道を歩いていればいいものを、危険を冒して逆境に立たされたり、自ら逆境に飛び込んでいったり。必ず乗り越えられる保証などなく、飲まれて難破してしまうかもしれない。それでもあえて、人は逆境に飛び込みます。
遣唐使が荒海という逆境を越えてまで船を出し、唐(現在の中国)へと向かったのは、日本と唐の友好だけではなく、最先端の技術や文化を学ぶためでもありました。そのため、船には僧侶や医者、絵師などものっていました。かの有名な空海も、遣唐使としてのった船で嵐にあい、本来の目的地とは違う港に漂着したといいます。逆境にぶつかってでも、学びたいことがあったのです。逆に、894年、菅原道真が遣唐使の廃止を訴えた主な理由が、「もはや危険を冒してまで、唐に行って学ぶことはない」というものでした。
逆境にのまれそうな時、その先に何があるのかを思い出してください。
船は港にいれば安全だ。
しかし、船はそのために造られたのではない。
グレース・ホッパー
逆境という荒海がぶつかってきたとき、私たちはどう立ち向えばいいのでしょうか?逆境を荒海とイメージすることによって、その乗り越え方が見えてくるかもしれません。
- まずは、方角をしっかりと把握すること。荒海の中でも、自分が進むべき方角を見失わないことが、基本です。時に、逆風すらも船を進める力になることがあります。キングコングの西野亮廣さんは著書『魔法のコンパス』の中で、「一番怖いのは無風状態で、帆の向け方次第では、向かい風でも前に進める」と語っています。不利な状況でも、捉え方、使い方次第で、自分のへ力と変えることができるのです。
- また、同じ逆境でも、「工夫次第で進める荒海」と「絶対に進めない荒海」を見極めることが大切です。昔から日本では「風待ちの港」と呼ばれる港が存在しました。旅の船が一時的にとどまり、航海にちょうどいい風が来るのを待っていたのです。もちろん、「この逆境はいけそうか」ということを見極めるのは、簡単ではありません。物事を見極めるには、さまざまな価値観を吸収し、自分の価値観を養っていかなければなりません。
- それでもどうしても逆境を乗り越えられそうにない時は、船体放棄、つまり思い切って諦めるというのも一つの手です。救命ボートでどこかの船に拾ってもらい、港に戻って仕切り直すというのも、みっともないように見えますが、沈没よりもずっと優れた道です。「一度逆境にのまれた」という経験は、確実にあなたの価値観を養い、前よりも荒波を見極める目が成長していることでしょう。
大切なのは、船と運命を共にすることではありません。目的地にたどり着くことです。逆境は決して、力技では乗り越えられません。よく学び、物を見る目を鍛え、工夫を凝らして乗り越えていってください。
まとめ
【航海】人はなぜ、「逆境」に飛び込むのか
- 「逆境」とは荒波のイメージ
- 逆境を乗り越えるため、その先にある自分の目的地をしっかりと思い描くこと。
- どのような逆境に立たされているのかをしっかりと見極め、工夫して、その逆境を力に変えていくこと。
- 思い切って諦め、仕切り直すのも大切。
著者プロフィール
- 2015年にピースボート地球一周の船旅に参加し、現在は仮面ライダーの記事を中心にフリーライター業。また、埼玉を中心に、道端の野仏から日本の民俗を研究している日本民俗学ファン。現在、船旅や日本民俗学などをテーマにしたブログ「僕らは旅人」を展開中。
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