そうした武勇伝の中でも特筆すべきは、爺ちゃんの肝煎りで社会会館を建ててしまった事だろう。地域の分校跡地をどうにかしたいが予算がない、という話が出た時、爺ちゃんが「俺に任せろ」と金集めを買って出たのだが、その手口というのが実に鮮やかだった。
爺ちゃんは市に掛け合ったところで引っ張れる金など多寡が知れていると見た。そこで地元の有力企業を訪ね、「あんたらの宣伝をしてやるが金を出せるか」という交渉をした。「地域に公共施設を建て、そこで注目されそうな福祉事業をやる。出資者の手柄を全部くれてやるから出すモノを出せ。ついては地域に直接金を出しても宣伝効果は薄いだろうから、まず市に預けてくれ。後はこっちで上手くやる」