夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
今回のテーマは、精神障害の中で不安障害に分類される「パニック障害(PD)」です。人間は誰でも、不慮の事故や災害などの危険に遭遇すると、一時的なパニック状態に陥ります。中にはパニック発作を伴う人もいますが、普通の人ならこれはパニック障害と関係ありません。
「パニック障害(PD)」は、予期しない「パニック発作」が繰り返し生じており、1ヵ月以上に亘って不安を抱えたり、行動パターンを変えたりするなどの特定の特徴を持つ精神障害(不安障害)です。さまざまな身体表出を伴うパニック発作を起こしても、精密検査をすると原因が見当たらないのが特徴です。
パニック障害において、パニック発作を引き起こす原因についてはまだ究明途上ですが、脳機能の障害と心理的葛藤が複雑に絡み合って生じるものと推論されています。多くのパニック障害の患者において、脳内のセロトニンを増加させる薬物を投与する治療を行うと改善がみられることから、癒しホルモンの「セロトニン」の分泌が少ないことが推測されます。
ころころコアラさん
【心の病シリーズ】認知行動療法で改善できる「パニック障害」の症状と治療のポイント
パニック障害(PD)の定義・診断基準
「パニック障害(Panic disorder:PD)」とは、「パニック発作」や「予期不安」や「広場恐怖」といった特定の症状を伴う、不安障害に分類される精神障害を指します。ある特定の場所で強いストレスを感じて、自律神経の乱れを生じ、動悸・息切れ・心拍増加・めまいなど命の危険を感じるほどの恐怖を感じ、強烈な不安感に襲われる「パニック発作」を起こします。
そして、このようなパニック発作がまた起こるのではないかという「予期不安」に悩まされ続け、さらには一度パニック発作を起こした特定の場所を恐れて避けるという「広場恐怖」を伴います。
診断基準
「パニック障害」の診断基準には、アメリカ精神医学会の『精神障害の診断と統計マニュアル』が使用され、問診を中心として診断されます。「パニック発作」の診断基準には13項目あり、4つ以上が該当し10分以内にピークに達することが確認されると、パニック障害の可能性が疑われます。
【パニック発作の診断基準13項目】
- 心臓がドキドキし、脈拍が増加する
- 手の平や全身に汗をかく
- 手足や体全体がふるえる
- 息切れや息苦しさを感じる
- 窒息感や喉のつまりを感じる
- 胸の痛みや圧迫感や不快感がある
- はき気や腹部の不快感がある
- めまいやふらつきがあり、気が遠くなるように感じる
- 自分が自分ではないような非現実的感覚が起こる
- 自制できなくなる恐怖や、気が狂うような恐怖に襲われる
- このままでは死んでしまうような恐怖を感じる
- 体の一部にしびれ感やうずきを感じる
- 冷たい感じやほてり感がある
「パニック障害」と診断されるには、上記の13項目中4つ以上の症状が10分以内にピークに達することを最低条件とし、このような予期しないパニック発作が繰り返し起こっており、しかも1ヵ月以上続いていることが条件とされています。
パニック障害(PD)の症状と特徴
「パニック障害(PD)」で最初に経験する症状は、予期しない突然の動悸や呼吸困難、脈拍の急増や発汗、ふるえやめまい、そして息苦しさや胸の不快感など身体症状とともに、強い不安感や恐怖感を伴う「パニック発作」です。
この発作のほとんどは、10分以内にピークに達した後、20分程度でおさまります。初めての発作では、救急車で病院に運ばれるケースもありますが、発作症状は病院到着時にはほとんどおさまっており、精密検査をしてもなんら異常が見当たらないのが特徴です。
このパニック発作を何回か繰り返すうちに、『また起きるのではないか?』という将来に対する強い恐怖感や不安感が生まれるようになり、これを「予期不安」と呼んでいます。
「パニック障害(AD)」の症状において、「パニック発作」と「予期不安」と「広場恐怖」は特徴的な3大症状といわれ、悪循環を繰り返して症状をさらに悪化させます。パニック障害が悪化し重症化すると、人前に出るのを嫌がって引籠るようになり、社会生活を維持していく上で機能障害となります。うつ病に発展することも多くみられます。
パニック発作
パニック発作は、満員電車などの閉鎖的な狭い空間、車道や広場などの混雑した場所、職場で会議中や集会時などで、予期もなく突然起こることが多いとされています。何かの強いストレスを覚え、動悸、息切れ、吐き気、めまい、手足のしびれや痙攣、胸部圧迫感などの自律神経による身体症状や、その空間に対する強烈な不安感に襲われます。
予期不安
「パニック発作」を何度か経験する度に、『このまま死んでしまいそう!?』という強烈な不安と恐怖を感じるため、発作を起こした場所を恐れるとともに『またそこで発作が起きるのではないか?』という不安が増大していきます。これを「予期不安」といい、さらに神経質になってパニック発作を繰り返す悪循環サイクルに陥っていきます。
広場恐怖
パニック発作が繰り返される度に、『発作が起きた場所からは逃れられない!』と妄想が増大するようになります。一度発作を経験した場所を回避するとともに、家に引きこもりがちになり、外出も恐れるようになります。この外出恐怖のことを「広場恐怖」と呼ばれています。行動範囲が限定されて社会的な機能や役割を果せなくなり、ストレスや葛藤が慢性化してうつ病に発展するケースも多くみられます。
他の精神障害との合併
「パニック障害」に該当する患者の生涯において、50~65%の人がいずれかの時点で「うつ病」を併発するとされています。また8~25%程度の割合で不安障害の中の「適応障害」「急性ストレス障害」「対人恐怖症」「強迫性障害」などのいずれかを併発するとされています。
夢見るシロクマさん
パニック障害(PD)の原因
パニック障害の該当者は、日常生活においてストレスを溜め込みやすいような環境で暮らしていることが多いとされています。不安やストレスを感じやすい特定の場所では、危険を察知する脳の扁桃体が活動しすぎて、情動的に必要もない戦闘体制を作ろうと過剰反応することで、呼吸や心拍数を増やしてしまうことが発作の原因として考えられます。
しかし、その原因となるメカニズムは解明されていませんが、最初の発作の原因となるのはストレスや過労の蓄積によって、脳内の神経機能になんらかの誤作動的な異常が発生すると考えられています。
パニック障害(PD)の治療法
パニック障害の治療には、「薬物療法」と「心理療法」とがあります。この両方の治療を並行して行うのが効果的だとされています。
薬物療法
ドクターひよこ男爵
- 「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」は、一番目に使うように推奨されている薬剤で、脳内のセロトニンを増やす作用がありますが、効果が出るまでに2~3週間かかるとされています。主な薬剤名として「パロキセチン」と「セルトラリン」があります。
- 「抗不安薬」は、不安やそれに伴う心理的・身体的症状の緩和に用いられる薬剤で、主にベンゾジアゼピン系の薬が使用されます。しかし、この薬の副作用はSSRIよりも強く、眠気やふらつき、便秘やのどの渇きなどが強く現れ、依存性や習慣性の懸念もあります。したがって、SSRIを先に使用しても効果が無い場合に、第2選択肢以下として短期的に使用されるのが通例です。
- 「三環系抗うつ剤」は、「セロトニン」や「ノルアドレナリン」を増やす作用を持っており、患者の状態によって投薬の種類が使い分けられています。
薬物療法は症状緩和が目的で治癒・完治するものではない
重要なことは、パニック障害における薬物療法は、パニック発作の症状を緩和させることが目的であり、パニック障害そのものを治癒したり完治させたりすることはできないということです。
SSRIなどの薬物は、パニック発作を抑えられる程度の量に調節しながら、1~2年くらい服用を続け、発作が起こらなくなると量を減らしていきます。しかし、また発作が起これば、すぐに元の量に戻す必要が生じるのです。
心理療法
パニック障害を治療する心理療法において、最も重要で基本となるのが、医師による「障害症状についての詳細な説明」と「心理教育」です。パニック障害は、発作が起こる不可解さや、発作に対する不安感や恐怖感によって悪化していく障害です。患者が、起きている症状について正しく認識・認知できるように、医師が症状について正しく明確に説明し、改善へ向けての心理教育を行うことが、あらゆる治療の根幹となるべきです。
心理療法においては、「認知行動療法」と「自律訓練法」とを併用して行うのが最も効果的です。
何かを間違えたひよこ
患者に対して「恐れているパニック状況への暴露」「身体感覚についての感知や解釈のしかたの再構築」「正しい呼吸方法」などについての認知手順や訓練・練習が行われます。不安が誘発される場所に、想像的または体験的に身を置くことで、回避することなく徐々に慣れていくための認知方法と対処方法を訓練します。
電車内でパニック発作を起こす場合には、実際に改札口周辺まで行って慣れさせてから『自分が回避している場所はパニック発作とは関係がない』ことを、その場で認知することで自信をつけていくことが重要です。段階的に少しずつレベルを上げて、最終的に不安に動揺せず、不安から逃れず、ついには不安に立ち向かうようになれば、治癒は間近です。
パニック障害においては、適切な治療を行なっても、パニック発作を起こさなくなるまでには最低でも2~3年は必要とされます。大切なことは、薬物療法による治療は、初期段階では受けても1年以上も長く頼らないことです。
というのも、薬物療法は症状緩和だけの効果であって、障害そのものを解消して治癒できるものではないからです。薬物療法に頼り過ぎると、副作用や依存症によって、他の精神障害を併発するリスクが高くなります。
パニック障害を治癒・完治させる為には、本人自らの認知行動の修正が必須です。医師や患者の周辺の人も一緒になって、不安や恐怖に対する誤った認知行動を、不安や恐怖を感じることのない認知行動へ修正できるように努力することが大切です。
不安っていうのはきっと、人間が生きてる限り、持ち続けなきゃいけないものなんだよね。
その不安をいかにとり込みながら、楽しく生きていくのかってことがたいせつなんだもんね。
谷村志穂
まとめ
【心の病シリーズ】認知行動療法で改善できる「パニック障害」の症状と治療のポイント
- パニック障害の症状は、『このまま死んでしまう!』と思うほどの恐怖に襲われる
- パニック障害の症状は、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」の3つを伴う
- パニック障害の原因は、脳の神経伝達系の回路の異常が仮説として有力
- パニック障害の治療には、薬物療法と心理療法の2種がある
- 薬物療法は、治療初期段階での症状緩和目的だけに短期的に用いるべきである
- パニック障害そのものの治療・改善には心理療法を最優先すべきである
- 本人自身の正しい認知行動への修正には、周辺の協力体制が重要である
著者プロフィール
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定年退職して無職浪人生活を送る大阪在住の男性です。
未来がどんどん少なくなって過去だけが蓄積されていきます。
有り余る時間を活用して、元気になれる!勇気がもらえる!ような
記事が書けるよう日々奮闘しています。
「未来呼人(みらいよびと)」は、わたしが未来を呼べる人ではなく、
夢ある未来を呼びたいなぁ!という願望を込めて命名したもの。
世の中の多くの人々から元気と勇気をもらいながら、わたしも
元気と勇気を発信して共有していきたいと願っております。