夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
発達障害者の存在は、実は珍しいものではありません。家族や知り合い、クラスメイトや同僚など、気づいていないだけで、発達障害者はごくごく身近にいるはずです。
では、発達障害者とは、どんな人なのでしょうか?
【発達障害②】良子と三四郎の長い一日
発達障害者・良子の一日
また、あの夢を見ました。自分だけ課題ができなくて、皆においていかれる夢です。学生時代は、もう遠い昔のことなのに・・・
朝の目覚ましは、戦闘開始の合図です。前夜に買っておいたコンビニのサンドイッチを、インスタントコーヒーで流し込みます。今日は9時から大事なプレゼンがあるので、遅刻するわけにはいきません。ゆうべ洗った洗濯物を、干している時間はなさそうです。いつもより頑張って早く起きたのに、家を出るのは結局いつもの時間です。片っぽ見つからないので、お気に入りのイヤリングは諦めるしかないでしょう。アレを着けていると、気合いが入るのに。急がないと、またバスが行ってしまいます。小走りが効を奏して、何とかバスに間にあいました。遅刻せずに出社できます。プレゼンの予習までは、ちょっと難しそうですが。
タイムカードをおしてバッグを開けると、何ということでしょう!プレゼンの資料が、封筒ごとありません。昨日、ちゃんと入れておいたはずです。記憶を辿っても、最後に確認した後、どうしたかはっきり覚えていません。仕方ない、もう一度プリントアウトしなくては。バタバタしている様子を見て、上司がまたかと苦笑いしています。火事場のバカ力で、何とかピンチを切り抜けました。
プレゼンを終えてほっとしたのも束の間、会議室を片づけていた後輩が、ニヤニヤしながら席にきました。
「良子さん、資料とペンケースとスマホ、机の上に置きっぱなしでしたよ」
周りから、ささやかな笑い声がおこりました。
「いつものことだもんなぁ!」
「はい、またやっちゃいました♪」
合わせて笑ってみせるものの、心の中では半べそです。また笑われました。といっても、今日は軽い方です。何もコトをおこさなかった日は、数えられるくらい珍しいのです。いつも、いつでも頑張っているのに、どうしてこうなのでしょうか?
どうして皆は、そつなく仕事や日常生活をこなせるのでしょうか?あの人もあの人も、仕事中、無意識に鼻唄を歌って怒られたり、さっき聞いたばかりの伝言を、忘れたりしないのです。手に持っていたはずの定期券をなくしたり、鞄の中で小物が行方不明になったりもしないのです。皆は、バス会社や行きつけのお店に、忘れ物の問い合わせをするために、それぞれの電話番号を登録したりしていません。
自分の人生は、何故こんなに辛苦の連続なのか、大声で泣きたくなります。
発達障害者・三四郎の一日
今日も、いつもと同じ朝です。いつもの時間に出社したら、知っている人に挨拶をします。障害者枠での求人があるほどの大きな会社なので、知らない人も通ります。あっ、友人の山家さんを見つけました。
「山家さん、今知られてる素数は、2,233万8,618桁で、それまで最大だったメルセンヌ素数より、500万桁も多いです。数字を言ってください、素数か素数じゃないか、教えてあげます!」
いきなり、大好きな数字の話をします。山家さんが腕時計をチラチラ見ているので、時間を教えてあげました。チャイムが鳴ったら仕事がはじまるので、それまではしゃべっていていいのです。仕事中は、決まりなので数字の話をしません。仕事は、部品の開梱と整理、梱包材の片づけです。
今日は、段ボールの片づけ方を変更されました。やり方が変わるのは、好きではありません。イライラしながら、新しいやり方で片づけました。パニックをおこしそうですが、仕事中は大声をだしてはいけないので、我慢しました。
一生懸命働いて、お昼になったら食堂に走ります。ごはんを食べている間は、話をしない決まりなので、静かにしています。食べ終わったらまた、数字の話ができる知り合いを探します。朝と同じ場所に同じ人がいないのが不思議ですが、少し慣れました。
午後のチャイムが鳴ったら、また仕事です。時々、誰かが部品をぶつけて金属音が鳴ると、ビクッとします。大きな音や、眩しい光は苦手です。雑踏も、音や色やモノがたくさんありすぎて嫌いです。疲れている時などは、ヘッドフォンやサングラスで外からの刺激を遮断しないと、目的を忘れてわけがわからなくなってしまいます。
突然の予定変更や、予想外の出来事も苦手です。特別支援学校時代、スクールバスで帰ろうとしたら、お母さんが車で迎えにきて、びっくりしてパニックをおこし、大騒ぎをしたことがあります。
このふたりは、あくまで発達障害の典型的な例にすぎません。もちろん、健常者(定型発達者)も遅刻や忘れ物をしたり、失敗したりします。騒々しい雑踏を好まない人は少なくありませんし、好きな話題なら話も弾みます。けれど、それによって生きることに困難を覚えたり、周りが戸惑ったりする度合いが、発達障害者は群を抜いているのです。
あなた自身や、あなたの知っている誰かさんに、思い当たる節があるでしょう?でも、ちょっと待ちましょう。その特徴は、発達障害かもしれませんが、違うかもしれません。事実、発達障害によく似た症状の、別の病気や障害もあります。発達障害か否かは、専門の医師が慎重に診断するものですから、いくつか似た状態がみられるからといって、性急に決めつけるべきではありません。発達障害は、専門家の指導やアドバイス、時には薬剤の投与によって、軽くなったり対処しやすくなったりすることがありますから、まずは、正確な診断を求めることをオススメします。
みんなが同じように勉強しても、しかたない。
うちの子は、これでいいんです!
さかなクンのお母さん
まとめ
【発達障害②】良子と三四郎の長い一日
発達障害は、一生つき合っていく友のようなものです。友について学ぶことは、よりよく生きる上で、とても重要です。発達障害者も健常者も、障害についての知識を増やすことにより、お互いが過ごしやすい社会になっていくでしょう。
著者プロフィール
- アラフィフのADD、猫好きなおば様♪
発達障害2017.01.04【発達障害③】教育と支援
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