夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
前回は、「徳は魂からの想起により、神から与えられた物である」というプラトンの主張を見ました。
今回は、肉体と魂との関係を示すプラトニズムについて見てみましょう。プラトン著「パイドン」という本で、魂の考察がされています。
【ギリシャ哲学⑩】プラトニズム
魂と肉体の関係
プラトンは、ピタゴラス教団の影響を受け、輪廻転生を信じていました。プラトンの言う輪廻転生とは、どのようなものなのでしょうか?
人は生まれたとき、魂が服を着るように、肉体をまとうのです。死ぬときは、魂が肉体から抜け出します。
ふわふわお化けさん
こうすることにより、魂の浄化(カルタシス)がおこり、死後、あの世で最大の善が得られるのです(飲食や性の快楽に見向きもしないことは、ほとんど死んだも同然の状態です。ということは、生きている証拠は、食欲と性欲なのかもしれません)。
なぞだらけのひよこ
知恵(真実)を獲得するとき、肉体は邪魔になります。魂が肉体と協同して、何かを考察しようとすると、肉体によって魂は欺かれてしまいます。思考が最も働くときは、聴覚も、視覚も、苦痛も、快楽も、魂を悩ますことがなく、魂が肉体に別れを告げて、魂自身になり、可能なかぎり肉体と接触せずに、真実を希望するのです。
こう考えると、何かを純粋に知ろうとする知恵の獲得のためには、肉体から離れて、魂そのもので事柄を見なければならなくなります。これができるのは、死後です。
ひらめきうさぎ
そこで、生きている間は、肉体から清浄な状態になって、神が人間を、肉体から解放する時を待つしかないのです。肉体の狂乱から離れれば、魂は清浄なものになれます。清浄ではないものが、清浄なものに触れることは、神は許さないのです。
だから、人間にとっては、生きることより死ぬことのほうが、無条件で良いことです。だけど、これは神々により禁止されています。なぜなら、人間は神々の所有物であり、神々にとって、自分の所有物が神々の意志に反して自身を殺した場合、何らかの処罰を下すからです。
このように、食欲や性欲など、肉体に関する事柄が、魂の浄化を妨げるという思想をプラトニズムと呼びます。
合成的と非合成的
たとえば、「美そのものとは何か?」「等しいとは何か?」と聞かれて、あなたは答えることができるでしょうか?
ある人は、一枚の絵を美しいと思っても、別の人が美しいと思うとはかぎりません。ある部品があり、それと「形や素材が同じ部品」を等しいと言っても、見方を変えると、どちらかが先に作られたのだから、両者は等しくないかもしれませかん。このように「美という概念」や「等しいという概念」は、目に見えません。
だけど、美しいという概念や等しいという概念は、いつの時代においても同じものです。プラトンは、これらを自己同一性があるものと呼びました。自己同一的なものは、それ以上、分割することができないので、非合成的なものです。つまり、これがイデアです。
これに対し、ある絵やある部品は、目で見ることができます。絵や部品は、時間とともに劣化するかもしれないので、その有り方を変えてしまいます。いつも同じものではないのです。プラトンは、これらを自己同一性がないものと呼びました。非自己同一的なものは、さらに細かく分割することができるので、合成的なものです。たとえば、絵は、絵の具と紙に分けることができます。
では、魂は、先に示した二者のどちらに含まれるのでしょうか?
これに対し、肉体は、手や足などに分けることができ、月日が流れると老化します。よって、肉体は合成的で、非自己同一的です。人間的で、可死的で、多様な形を持ち、無思慮で、分解可能です。
そしてプラトンは、魂が肉体の影響を受けないで考察する時、純粋で、永遠で、不死で、自己同一的な状態「知恵」になると主張します。
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プラトンFAQ
プラトン著「パイドン」は、ソクラテスの死刑執行直前に、ソクラテス、ケベス、シミアス、エケクラテス、パイドン、クリトンが会話する形式をとっています。ここで、よくある質問(FAQ)をケベス、シミアスがおこない、ソクラテスがこれに答えています。
シミアスの反論
Q:「魂が肉体の調和なら、肉体の滅亡とともに魂も死滅するのではないのですか?」
肉体は、熱、冷、乾、湿などの諸性質が緊張と同時に統一されていて、これらの諸要素が相互に美しく混合されたときに生ずる調和が魂であると考えたら、肉体の滅亡とともに滅亡するのではないのですか?
A:肉体の中に魂が入る前に、魂は存在しているのが想起説であり、学習は想起であるという想起説と、魂は調和であるという説は両立しません。調和説には、もっともらしさとかっこうよさはありますが、調和には「程度」というものがあります。大きい調和もあれば、小さい調和があります。だけど、より大きな魂や小さい魂はありません。だから、魂は調和ではありません。
ケベスの反論
Q:「魂が肉体より長寿でも、何回も輪廻を繰り返すうちに、衰弱して滅亡してしまうのではないのですか?」
魂は肉体をはるかに凌駕していて、肉体よりも長命であると考えると、魂からの想起説も説明できるが、魂の不死までは証明されていないのではないのですか?
A:仮説演繹法(ヒュッポテシスの方法)を用いて説明します。仮設演繹法とは、仮設を立てた場合、整合性が取れている事柄を真とし、整合性がない調和がない事柄を偽とする方法です。
イデアというもの、たとえば「美そのもの」「善そのもの」「大そのもの」が存在すると仮定します。当然、偶数のイデアもあれば奇数のイデアも存在します。たとえば、3という数が偶数を受けつけないように、偶数と奇数のイデア同士は受け入れません。
では、生のイデアがあったと仮定して、この生のイデアが身体の中に入った時、魂が生じます。この生と正反対の物が死です。奇数が偶数を受けつけないように、死も生を受けつけません。こう考えると、生のイデアを持つ魂は、死や滅亡を受けつけないのです。
人間のことは何にてあれ、大いなる心労に値せず。
プラトン
まとめ
【ギリシャ哲学⑩】プラトニズム
プラトンは、著書「パイドン」で、魂について説明します。食欲や性欲などの欲望に溺れてしまうと、魂が浄化されないので、正しい判断ができず、誤りに陥ると説きました。これがプラトニズムです。
著者プロフィール
- 理系大学を卒業し、製造業に携わっているにもかかわらず、西洋や東洋の思想に興味を持ち、コツコツと勉強しています。
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