夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
古代インド思想は、リグ・ヴェーダにはじまり、六師外道・仏教・ジャイナ教のような反ヴェーダ系思想(自由思想)やヒンドゥー教などがあります。中世インドから、シャンカラが主張した不二一元論やシヴァ神信仰、タントリズム、ヴィシュヌ信仰が出てきます。また、イスラム教などの外来思想が伝来し、シク教などが発生しました。近世はより複雑になります。
これから、これらのインド哲学を、「自己変貌や夢の実現に活かせないか」という観点から学んでいきます。インド特有のサンスクリット語(たとえばヴェーダやタントリズムなど)を用いた表現が出てくるので違和感があるでしょうが、日本語も付してあるので御容赦ください。
【インド哲学①】ヨガの歴史1
なぜ、インド哲学なの?
世の中の思想や哲学は、おおよそ
- 西洋哲学
- イスラム哲学
- インド哲学
- 中国思想
に分けられます。日本では、古代から中世にかけて、日本固有の思想(特有のアミニズムやシャーマニズム、神道など)に、中国思想やインド哲学が導入されました。近世になり、西洋哲学が入ってきます。三四郎さんは、江戸時代以前の日本思想は、仏教の禅と真宗で日本文化は説明できると言っていますが、仏教だけではなく、古代西洋哲学やインド哲学も無視できないのです。
禅やヨーガ・瞑想
自己を変える古典的方法として、禅やヨガ(本当の発音はヨーガ)があります。オウム真理教のテロ事件で、一旦はヨーガ離れ起きましたが、ヨーガは相変わらず人気があります。近年のスピリチュアル・ブームとヨーガが融合している場合があり、どうもデタラメな思想が蔓延しているようにみえます。だから、ヨーガは近寄りがたい面があります。そこで、正しくインド哲学を理解する必要があります。
わくわくハッチさん
歴史の勉強など面倒
インド哲学を学ぶのは、自己変貌・夢実現のためなので、インド哲学を古代から学んでいくのは非常に面倒です。勉強したはいいけれど、まったく役に立たない知識だったというのも残念です。だから、役に立つものから学んでいくのが理解しやすいでしょう。こう考えると、まずはヨーガでしょう。
ヨーガって、なに?
ヨーガとは「つなげること」「調和すること」です。現在、ヨーガは精神衛生(ストレス対策・感情コントロール)や健康管理(ダイエットや成人病予防)に役立つとされています。
だけどヨーガは、世界各国で何回ものヨーガブームを経ていて、ヨーガとはいったい何なのかが見えにくくなっています。上記の精神衛生や健康管理、つまりはダイエット、フィットネス、デトックス、血行促進、ストレス解消から、ヒーリング、メディテーションまで、本来のヨーガの目的とはかけ離れたものと抱き合わせて売り込んでいるケースが多々あります。まさに百家争鳴、カオス、玉石混合の状態なのです。だから、ヨーガの歴史を紐解くヨーガ哲学の理解が必要なのです。
ヨーガの歴史
ヨーガの起源は、よくわかっていません。古代インド(紀元前800年頃)に、すでに
と知られていました。また、古代インドにはヴェーダと呼ばれるいくつかの賛歌がありました。このヴェーダの影響を受けたものに、ウパニシャッド(奥義書)があります。ここで注意してほしいのは、ウパニシャッドという書物があるのではなく、ヴエーダの影響をうけたたくさんのウパニシャッド(たとえばヴリハッド・アーラニヤカ・ウパニシャッド、チャーンドギア・ウパニシャッドなど)があり、これらを総称してウパニシャッドと言います。
仏教が成立した時代に書かれたウパニシャッドに、ヨーガの行法が記載されていました。ということは、仏教よりもヨーガの歴史は深いと言えます。
サンキーヤ学派の世界観とヨーガ学派
仏教が成立した時代、仏教以外の思想派閥は、六師外道と呼ばれていました(これ以外にもジャイナ教があります)。この六師外道の1つに、4~5世紀に確立したサンキーヤ学派がありました。世界は精神原理であるプルシャ(霊我)と、それを観察する物質原理プラクリティ(原質)の2つからなると考えました。そして、派生物と精神原理の仕組みを理解することが、解脱(世の中の迷いから解放されること)する方法であると考えました。
なんでもプラクリティで解決しようとするひよこ
トリ・グナ(心の3つの気質)・・・サットヴァ・ラジャス・タマス
- サットッヴァ(純質)は、純粋性、調和を意味します。サットヴァな心になると、ネガティブがない純粋でクリアな心になります。そして、安定して物事を公平に見て、正確な判断ができます。
- ラジャス(激質)は、激動、動性を意味します。ラジャスな心になると、情熱的で何事にもがんばれます。が、グナのバランスが崩れると、怒りに満ちた心が現われます。感情に左右されたり、疲れているのに「自分はまだできる」と思い込んだりして、疲労してしまいます。
- タマス(暗質)は、怠性、無知を意味します。タマスな心になると、不活発になり、何をするにもより楽な方法を選び、生命力に欠け、常に眠気を感じます。貧欲になったり短気になった、そして何をするにも面倒に思います。
チッタ(心)・・・ブッディ・アハンカーラ・マナス
トリ・グナの均衡がくずれると、ブッディ(覚)、つまり知性の働きが大きく現れます。意思決定が制御できたり、物事を理論付けたりすることができます。その次に、アハンカーラ(自己感覚)が現れます。自己感覚が個々人の感覚や意識ではなくなり、世界全体の原理となっていくのです。このようにして、アハンカーラは自己をつくりかえるのです。
トリ・グナ(心の3つの気質)の均衡がくずれ、ブッディ(覚え)が働き、アハンカーラ(自己感覚)の中でサットヴァ(純質)が支配的になると、11の器官(11根)が現れます。
- 11の器官とは、五感覚器官、マナス、五行為器官のことです。
- 五感覚器官とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚です。すなわち、眼、耳、鼻、舌、皮膚(身)のことです。
- マナスは、第六の器官で意識のことで、ここで知覚と運動が連結されます。
- 五行為器官とは、発声器官、手、足、排泄器官、生殖器です。
アハンカーラ(自己感覚)の中でタマス(暗質)が支配的になると、五微細元素(五唯)があらわれます。五微細元素は五感覚器官の対象で、物質世界が発生するための種子です。そして、五微細元素から世界の物質的基礎である地・水・火・風・空(エーテル)が現れます。
ラジャス(激質)が支配的になると、主観的現象世界、つまり11器官と客観的現象世界(五微細元素)の両方が現れます。激質は、原質が変更する動力になり、これがないと原質は変化しません。
出典:「インド哲学史」前田専学著(東京大学出版会)
ここがキモ
ひらめきうさぎ
ヨーガによって、世界が本来の姿に戻った時、プルシャ(霊我)が本来の姿を現し、それを目にすることで精神的幸福にたどりつけると考えたのです。
サンキーヤ学派とヨーガ学派の違いは、ヨーガ学派が最高神を認める点ですが、この神は単に存在するだけで、両派の違いはあまりありません。
このような話をしているとオレンジジュース(サンキーヤ・オレンジ)が飲みたくなってきます。ちなみにサンキスト・オレンジは、Sun Kissed Fruit(太陽がフルーツにキスをした)からきています。
You must be the change you want to see in the world.
あなた自身が、この世で見たいと思う 変化とならなければならない。
マハトマ・ガンジー
まとめ
【インド哲学①】ヨガの歴史1
いくつかのヨーガブームにより、さまざまな効能をうたいあげるヨーガ団体が発生しました。だから、ヨーガの本来の目的を知ることは大切です。
最初に体系化されたヨーガ哲学は、仏教が成立した時代にインドに存在した、サンキーヤ学派の自然観と、それを利用したヨーガ学派の思想です。すなわち、体の物質的状態に均衡が生じて不変となると、本当の自己を見ることができるという考え方です。
参考文献
「ヨーガの思想」山下博司著(講談社・選書・メチエ)
「ヨーガの思想」立川武蔵著(講談社学術文庫)
著者プロフィール
- 理系大学を卒業し、製造業に携わっているにもかかわらず、西洋や東洋の思想に興味を持ち、コツコツと勉強しています。
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