夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
「しなやかなメンタル」を手に入れるためには、あなたの抱く「前提認識」を観察して、クリアにする必要があります。では、「前提認識」とは、具体的にどのようなものでしょうか?
今回は、「パースペクティブ」と関連させて、メンタルを前提認識から根本的に強化する方法をお伝えします。
【三段論法】強いメンタルをつくろう⑯ あなたの「前提認識」は?
すべては「前提」に依存する
あなたは「前提」と聞くと、どういう印象をもつでしょうか?「難しい理論の基礎」いうメージをもつ人もいるでしょう。それも当たっているのですが、私たちのメンタルを考えるうえでも、「前提」を考えることが極めて重要なのです。むしろ、この「前提」について考えることこそが、メンタルをしなやかにするための根本的な方法です。
論理学には、「演繹法」という手法がありますが、「前提が全て」といわんばかりの構造です。演繹法とは、「大前提(ルール)」を「事実」に当てはめて「結論」を導き出す論法ですが、「大前提」を間違ってしまうと、導き出される「結論」も当然、間違ったものになります。たとえば、「赤信号は停まらなければならない」という「大前提」があれば、私たちは「目の前の信号が赤だ」という「事実」を確認し、「青に変わるまで停車しなければならない」という「結論」を出します。つまり、「大前提」→「事実」→「結論」の流れです。これは「三段論法」として有名です。しかし当然、「赤信号は停まれ」という決まりがない他の国では、全く意味をなさないのです。そういう国では、「赤は停まらなければならない」という「前提」がないからです。
私たちの日々の意思決定も、同じような論理展開で結論を出しているのです。「結論」の礎(いしずえ:土台)となる「前提」に客観性がなかったり、間違っているならば、「結論」は当然、信憑性の欠けるものになるのです。このように意思決定は、「前提に依存する」のです。
あなたの「前提認識」は正しい?
私たちは「出来事」を、「これはこういうものだ」とか「こうに違いない」と考えているわけですが、その「認識」を前提として結論を出します。その「前提」が勝手な「決めつけ」だったり、根拠がほとんどないものならば、「結論」には客観性がないことになります。そのため、出発点となる「出来事」は、注意深く観察しなければなりません。誤った「前提」にならないように、「出来事」に不必要にマイナスの評価を下さないようにしなければならないのです。これが、「前提認識」をクリア(Clear:澄んでハッキリした状態)にせよ、という意味です。
特に、メンタルに影響を及ぼす出来事については、前提認識が客観性があり正しいのかを、自問する必要があります。そうでなければ私たちはつい、中立的な出来事であっても、マイナスであるかのように感じてしまうからです。
メンタルを「しなやか」にするには、冷静で客観的な判断が欠かせません。大げさな解釈や、被害妄想的な「偏った解釈」を排除しなければならないのです。そのためには、一見よくないことも、その考えの「前提」をよく検証しなければならないのです。
多面的な視点
あらゆる出来事には「多面性」があり、様々な解釈ができます。パースペクティブ(多面的な視点)は、前提認識に客観性をもたせるために、重要です。
ネガティブな思考に陥りやすく、結果としてメンタルが傷つきやすい人は、一つの出来事に対して、一つの解釈しかしていません。つまり、一つの前提認識だけを根拠に、自分なりの勝手な結論を出してしまっているのです。そしてその結論は、自分にマイナスのことばかりです。それが潜在意識に刷り込まれていき、似たような事象は全て、自分に悪い出来事であるかのように思い込んでしまう「被害妄想」になるのです。視野が狭く、前提認識が偏って凝り固まっているので、結論も全て偏っているのです。
「しなやかなメンタル」とは、一つひとつの出来事に惑わされ動揺することなく、夢に向かって一歩一歩進んでいくことのできるメンタルのことです。私たちは夢を叶えるために、多面的な視点から、前提を常に見直す必要があるのです。
国境の近くに住んでいた翁(おきな:老人)は、馬をかわいがっていた。周りからも評判が立つほどの、駿馬(しゅんめ:足の速い馬)だった。ある日、ハチに刺された拍子に、馬は飛び出してどこかへ行ってしまう。馬は一向に帰ってこないので、周りの人は翁に同情した。しかし翁は、
「これがきっかけで、何かいいことが起こるかも知れない」
とだけ言って、待ちつづけた。しばらくして、その馬が、別の白い馬を連れて帰ってきた。しかも、その白馬も、負けず劣らずの優駿だった。周りの人は口々に、「何と幸運なことか」と囃し立てたが、翁は、
「これがきっかけで、別の悪いことが起こるかもしれない」
と自分を戒め、決して喜ばなかった。後日、かわいがっていた息子が、白馬から落ちて、足を挫いてしまった。周りはまた、慰めの言葉をかけたが、翁は同様に、
「いいことの前兆かもしれない」
と告げる。しばらくして、隣国との戦争が勃発した。若い男は皆、戦争に駆り出されて、戦死した。しかし、息子は怪我していたため、徴兵されずに、命拾いした。そして、戦争も終わり、翁は息子と一緒に、末永く幸せに暮らしたという。
『淮南子』 巻十八 人間訓
まとめ
【三段論法】強いメンタルをつくろう⑯ あなたの「前提認識」は?
- 認識は、「前提」に依存する。これは論理的に物事を考えるためには、欠かせない視点。
- 柔軟でしなやかなメンタルをつくるためには、「前提認識」をよく知っておく必要がある。
- 「前提認識」と「パースペクティブ」によって、メンタルをしなやかすることができる。
著者プロフィール
- WEB制作・マーケティング業に従事。各種WEBメディアにて、ビジネス系記事の寄稿もしています。
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