夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
「ニーチェの言葉」などのニーチェに関する本が、本屋さんの店頭にずらりと並んでいるくらい大人気ですね。だけど、ニーチェの思想を理解して、ニーチェの言葉を読んでいるのか、ちょっと疑問です。なぜなら日本は、キリスト教の国ではないからです。
今回は、ニーチェの思想を掘り下げます。
【狂人?超人?】ニーチェの言葉「永劫回帰」で生き生きと
狂人
キリスト教の聖職者(神父や牧師など)からは、ニーチェは単なる狂人としか見なされていません。これは当たり前でしょう。
フリードリピヨ・ニーチェ
などにみられる、幾多のタブーとなった発言をしたからです。
また、ニーチェの言葉を読んでも、何が言いたいのかわかりにくいのです。ニーチェは体系立てて思想を説いたわけではなく、物語として自身の主張を説いたからです。近年、ニーチェの研究が盛んであり、ニーチェの思想を分かりやすく解説した本もまた、たくさん出版されています。まずはこちらを読んでから、ニーチェの言葉を読んだ方が、ニーチェの思想を理解しやすいのです。
聖書は、物語やたとえ話で思想を表すので、これに対抗したのでしょう。とにかく、ニーチェが書いた本はわかりにくく、かつ晩年の作品になると、自分の言いたいことを叫んでいるだけのような主張になり、これは正気の沙汰ではないのです。
ニーチェ教
ニーチェの思想は、「新たな宗教」と考えたほうが理解しやすいでしょう。この新たな宗教の教義は、「ニヒリズム(価値の転換)」「ルサンチマン」「永劫回帰」「超人」などです。そして、永劫回帰を受け入れ、新たな価値観を見出した時、活き活きと生活できると考えればいいのです。
ニヒリズム
産業革命以降、文明の進歩は幸福をもたらすと信じられてきました。が、ニーチェが生きた時代では、文明の進歩は必ずしも幸福をもたらさないのでは、と疑われはじめました。
一例を挙げます。
いままでの価値観(たとえば「文明の進歩は幸福をもたらす」など)が崩れた時、何を信じて生きればいいかわからなくなります。このように目的を失うことは、ニヒリズムと呼ばれました。
ルサンチマン
社会的強者は、何か悪いことをしているから強くなったと考えることができます。これは弱者の論理ですが、弱者はさらに、神を用いて自己肯定してしまいます。たとえば「貧しくても誠実に生きていれば、死んだら天国にいける」というようにです。金持ちでも誠実に生きていれば、天国に行けるはずですが、そうは考えないのが弱者の論理です。この弱者の論理をルサンチマンと呼びました。
まだルサンチマンがよくわからないという人は、グチや言い訳をしてみてください。それがルサンチマンです。「あいつは親が金持ちだから成功したんだ」「私はイケメンではないから異性からもてないんだ」などです。すべてルサンチマンになります。
末人思想
ニーチェは、ルサンチマンにより生きる意欲がなくなった人を、末人と呼びました。
末ひよこ
奴隷道徳
肉食動物は、自分より弱い動物を、獲物として倒して食べないと、生きることができません。東洋的では、そのような肉食動物もかわいそうな運命にあると考えますが・・・これを話している余裕は、ここではありません。弱い動物が強い動物に食べられてしまうことは、かわいそうと思われます。また、強い動物は獲物を殺して食べるので、どう猛であり、悪とみなすことができます。
やさしく見えるゾウさん
自然界に、善や悪の区別はないのですが、人は「弱者 = 善」「強者 = 悪」と解釈してしまうのです。ニーチェは、このような善悪を奴隷道徳と呼びました。
キリスト教批判
また、弱者を善とする奴隷道徳は、キリスト教により与えられたと考えました。たしかにキリスト教では、貧しくても清く正しく生きれば、天国に行けると考えられていました。
ニヒリズムに陥らないで、新たな価値観を見出すため、キリスト教による思想的呪縛から離れなければならないと考えました。信仰していてもニヒリズムに陥ってしまうキリスト教の神は、存在しないも同然なのです。そこで「神は死んだ」とニーチェは主張したのです。
ニーチェは、2種類のニヒリズムがあると考えました。受動的ニヒリズムと、能動的ニヒリズムです。
- 受動的ニヒリズムは、いままで話したような価値観の喪失により、生き生きと生きれなくなることです。
- これに対し、能動的ニヒリズムは、ある価値観を喪失しても別の価値観をすぐに見出し生き生きと生きていくことです。
ニーチェは、能動的な生き方にこそ「生の高揚」があると考えました。
永劫回帰
キリスト教は、悪いことをしないで、善き行いをしなさいと説きます。
ひよこマリア
だけど、悪い行いはしなかったとしても、善き行いもできなかった人は、どうすればいいのでしょう?善き行いをするための目標を立て、それを達成するための計画を実行しなければなりませんね。また、すでに善き行いをしてしまった人はどうなるのでしょう?別の新たな善き行いを、実行しはじめなければなりませんね。
このように人生は、目標の達成の繰り返しになります。
長い目で見ると、歴史が繰り返されているだけのようです。このような状態は悲観的に見えるかもしれませんが、ニーチェは肯定的にとらえました。目標に取り組んでいる瞬間は、人が一生懸命に努力しているのであり、ここに生の躍動があると考えたのです。
超人
ニーチェは、永劫回帰や能動的ニヒリズムを肯定しました。従来の価値観、とりわけキリスト教的価値観を捨て、新たな価値観をいくつも見出せるような人を超人と呼びました。新たな価値観を見出せる人は、受動的ニヒリズムやルサンチマンに陥ることがなく、本質的に自由だからです。
- ラクダは重い物を持ちたがります。これは、キリスト教的価値観に囚われている人のことを指します。
- 獅子とは、キリスト教的価値観から脱出し、新たな価値観を求めている人を指します。
- 幼子は、夢中になって遊びます。この夢中になっている様が超人に似ているので、超人を幼子にたとえたのです。
「だれでも幼な子のように、神の国を受けいれる者でなければ、そこに入ることは決してできない」(マルコによる福音書)
聖書のパクリかもしれませんが、幼子のようになることが、超人になることなのです。
キリスト教の価値観は、神を絶対的な基準にして、人間を相対的な者とします。これに対し人文主義は、人間自身を絶対的な基準とします。そして、相対的に神や善悪を評価します。このように考えると、ニーチェの思想は人文主義的とみなすことができます。
「なぜ生きるか」を知っている者は、あらゆる「いかに生きるか」に耐える。
ニーチェ
まとめ
【狂人?超人?】ニーチェの言葉「永劫回帰」で生き生きと
ニーチェは、ネガティブなニヒリズムやルサンチマンを否定し、ポジティブに生き生きと生きることが正しいと主張しました。
ニーチェの言葉は厳しく聞こえるかもしれませんが、耳を傾けるうちに心が躍動してくるのは、ニーチェが今この瞬間をポジティブに一生懸命生きろと叫んでいるからなのです。
著者プロフィール
- 理系大学を卒業し、製造業に携わっているにもかかわらず、西洋や東洋の思想に興味を持ち、コツコツと勉強しています。
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