夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
ヒラ・ヒラ・ヒラヒラヒラリと南へ「渡り蝶」。といっても、ネオン街を渡り歩く“夜の蝶”ではありません。海を渡り、はるか2千キロも離れた楽園まで移動する、珍しい蝶がいるのです。長い距離を移動する「渡り鳥」はたくさんいますが、「渡り蝶」は珍しいですよね。その名は「アサギマダラ」。日本各地でも、5月から9月頃に、比較的標高の高い高原地帯で多く見られる、鮮やかで華麗な蝶です。
夢見るシロクマさん
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華麗でロマンに満ちた蝶なのです。今回は、アサギマダラの謎に迫ります。
【胡蝶の夢】驚異!2千キロの海を移動する華麗な「渡り蝶」
アサギマダラって?
「アサギマダラ(Parantica sita)」は、翅の模様が鮮やかな大型の蝶で、長距離を移動することで有名です。漢字では浅葱斑と表記します。
生態・特徴:浅葱斑模様と優雅な飛翔
成虫は、翅を広げた大きさは10cmほどで、翅の内側は半透明の水色で、黒い筋みたいに翅脈が走っています。翅の外側は、前翅が黒色で、後翅は茶色をしています。全体的に半透明の水色の部分は、斑点模様のように斑になっています。この模様を浅葱斑と呼び、名前の由来となっています(浅葱は葱の若いときの青緑色のこと)。
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分布地域は、日本列島、朝鮮半島、中国、台湾までと広く、標高の高い山地に多く生息します。日本列島で成虫が見られるのは5月~10月までで、秋から冬には南西諸島で多く見られます。日本列島の標高の高い山地では、夏から秋にかけてフジバカマ、ヒヨドリバナ、アザミなどのキク科植物の花に集まり、集団で吸蜜する姿が見られます。
幼虫から成虫まで:綺麗なものには毒がある
アサギマダラの卵は、幼虫の食草となるキジョラン、カモメヅル、イケマ、サクラランなどの、ガガイモ科の草の葉の裏側に産みつけられます。冬でも枯れない常緑草です。これらのガガイモ科の食草には、強い毒性物質が含まれており、アサギマダラの幼虫は、これらの強い毒素を取り込むことで毒化し、鳥などの天敵から身を守っています。
アサギマダラは、幼虫 → 蛹 → 成虫と、どの段階においても鮮やかな色合いを呈しています。この鮮やかな色合いは警戒色として、天敵に毒を持っていることを知らせる目的があります。綺麗なものには毒があるとは、まさにこのことです。
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幼虫の体表には、黒の肌地に黄色の斑点が4列に並び、その周囲に白い斑点がたくさんあります。前頭部には長く黒い角が2本、尾部にも短く黒い角が2本ついています。日本では、秋に産卵され、孵化した幼虫は、幼虫のままで越冬して蛹化します。蛹は、青緑色で光沢があり、黒い斑点があります。食草の裏側に逆さ吊りになっています。翌年の初夏(5月頃)に羽化して、成虫として華麗に飛翔します。なお、寿命は羽化後4ヵ月程度です。
渡りの追跡調査:最長距離2千5百キロ!
アサギマダラは、驚くほどの距離を移動します。でも、日本で羽化して、成虫として秋に南下する個体は、翌年の初夏には、二度と北上して日本に戻ることはありません。台湾や南西諸島で、新たに成虫化した新世代の個体が、日本まで北上してきます。なぜ、生まれて初めてなのに、海を越えた長距離飛翔が可能なのでしょうか?渡り鳥であれば、親鳥とともに初飛翔を行います。アサギマダラは、初体験の移動の時期や、移動の方向などを、どのように感知できるのでしょうか?
アサギマダラの渡りについては、謎が多くありましたが、最近のマーキングによる追跡調査によって、その実態が次々に明らかにされています。アサギマダラの成虫の翅の半透明の水色の部分には、何と、マジックインキでマーキング(記入)できるのです。渡り移動の追跡調査は、捕獲した成虫の翅の半透明部分に、捕獲場所・年月日・連絡先などを記入してから、放蝶するという方式で行われます。このマーキングされた個体が発見・捕獲された場所・日時によって、移動期間・移動距離などが分かるのです。
多くの追跡調査によって、夏季に成虫となったアサギマダラの多くは、秋以降に、南西諸島や台湾までにも飛翔して南下することが次々と判明します。逆に、南西諸島や沖縄で成虫となったものや、日本列島温暖地で幼虫のまま越冬して、春に羽化して成虫になったものは、さっそく春から初夏に、繁殖活動のために北上することも判明しました。
追跡調査の結果、日本列島から放蝶された中で、1日で200km以上の速度で南下した記録や、和歌山県から香港までの2,500キロを83日間で移動した記録(2011年)があります。この香港までの2,500キロは、世界第2位の長距離記録となっています。恐るべし、華麗な蝶です。
ちなみに、アサギマダラの初夏の北上と、秋の南下の時期、年2回も、何千匹という集団群舞が見られる場所があります。大分県国東半島の沖にある「姫島」で、観光の絶好スポットとなっています。
なぜ、海を渡るの?
2015年1月に放送されたNHK「ダーウインが来た!」の番組特集『日本縦断2000キロ!旅するチョウを追え』で、アサギマダラの長距離移動の長年の謎が、ついに解き明かされました。
(1)渡りの最大の理由は“温度”
アサギマダラは、暑さにも寒さにも弱く、初夏になると暑さから逃れるように北上し、秋になると寒さから逃れるように南下します。最適な温度は21℃前後。集団での移動中継地である「姫島」での観察によると、気温21℃前後での活動は活発なのに、気温が29℃を超えると、みんなで一斉に、木陰の葉裏で休んでいます。
このことは、追跡調査での北上地点が、本州の東北を超えて、はるか北海道まで年々伸びてきていることでも裏づけされます。これにより、移動の限界点が緯度ではなく温度であると推測できます。つまり、地球温暖化とともに、21℃の移動最北点を目指して飛翔しているのです。
(2)フェロモンの材料となる花
オスの交尾前の求愛活動に欠かせないのが、臭いを放つフェロモンです。アサギマダラのオスは、このフェロモンの材料となる物質を含む、スナビキソウ・フジバカマ・ヨツバヒヨドリなどの、特定の花からしか蜜を吸わないことが分かっています。
姫島に咲くスナビキソウに集まるのは、すべてオスだけです。つまりオスは、フェロモンに必要な特定の花の開花前線(=温度)を追いかけて、渡り旅をしているのです。
(3)気流に乗るのが上手で、海上でも休息できる翅
南下するときには、上昇気流に乗って上空に上がり、滑空しながら前進するという、優れた飛翔能力があります。省エネ飛翔の能力を持っているのですね。しかも、疲れたときには、なんと海の上で休んでいるのです。まるで、海上に落ちて死んでいるかのように見えるアサギマダラ。しかし、近づくと、パッと飛び上がるのです。
漁師さんにとっては、この光景は珍しくもなく、「波の上で“四つん這い”になっていた蝶が、一気に浮上する」姿がよく目撃されるのです。アサギマダラの翅は、防水性や撥水性が高く、水に強いというわけです。
胡蝶の夢
「胡蝶(蝶のこと)の夢」とは、夢か現実か区別がつかないさまを言います。荘周こと荘子が、「蝶になり、花から花へとヒラヒラと飛んでいる夢」をみます。ハッと夢から覚めた荘周は、「自分は本当に人間なのか、これは現実なのか、それともすべては蝶が見ている夢なのか、分からなくなった」という説話から生まれた言葉です。
「胡蝶の夢」で荘子が説いているのは・・・
- 現実の人間なのか?夢の胡蝶なのか?と区別して考えることには意味がない
- どちらも真実であり、己であることには変わりない
- モノの変化とは、表面に現れた現象面での変化にすぎない
- 万物は常に変化を遂げるが、本質においては何ら変わりがない
あなたが、もしも蝶になれたとしたら、何をしますか?花から花へ甘い蜜を求めて、ヒラ・ヒラ・ヒラリと華麗・優雅に舞いますか?私にも、アサギマダラのような優れた翅があれば、札幌のネオン街から沖縄のネオン街まで、フラ・フラ・フラリと渡り回ることができるのに。でも、酔っぱらって海上に転落してしまうかも?
アサギマダラは人を見て、あんなに大きな体をしているのに、なんと活動範囲が狭くて勇気のない動物なんだ、と思っているに違いありません。あなたも勇気がほしいときには、そしてストレスが溜まったときには、夢の中でアサギマダラになって、南の楽園まで旅するといいかもしれませんよ。
蝶とぶや
この世のうらみ
無きように
(蝶の戯たわむれ方は、まるでこの世に恨みが存在しないようだ)
むつましや
生まれ変わらば
野辺の蝶
(もし、来生で野原の蝶に生まれ変われたなら、一緒に幸せになれるかもしれない)
まとめ
【胡蝶の夢】驚異の「渡り蝶」
- 花から花へ甘い蜜を求めて、ヒラ・ヒラ・ヒラリと華麗に優雅に舞う
- 「胡蝶の夢」を見て気楽に生きよう
Photo by CC BY-NC-N
著者プロフィール
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定年退職して無職浪人生活を送る大阪在住の男性です。
未来がどんどん少なくなって過去だけが蓄積されていきます。
有り余る時間を活用して、元気になれる!勇気がもらえる!ような
記事が書けるよう日々奮闘しています。
「未来呼人(みらいよびと)」は、わたしが未来を呼べる人ではなく、
夢ある未来を呼びたいなぁ!という願望を込めて命名したもの。
世の中の多くの人々から元気と勇気をもらいながら、わたしも
元気と勇気を発信して共有していきたいと願っております。