夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
近年、スピリチュアルでは「引き寄せの法則」が流行っています。本屋さんの「精神世界」のコーナーでは、ずらっと並んだ引き寄せ系の本がみられます。ホ・オポノポノや日月神事が、隅の方に追いやられてしまっています。
この「引き寄せの法則」は、どこから出てきたのでしょうか?「ザ・シークレット」(ロンダ・バーン著)や「ヘルメスの法則」、エメラルド・タブレットでしょうか?「引き寄せの法則」については肯定も否定もしませんが、その起源が古代文章云々というのは頂けません。というのは、古代思想がいきなり庶民の心をつかむことは歴史上あり得ないし、論理的におかしいのです。一度忘れ去られた古代思想が普及したのなら、普及させた人がいるはずです。普及させる動機があるのです。
このシリーズでは、最初に誰がどのようにしてスピリチュアルを思いついたのか、なぜ、スピリチュアルを構築する必要があったのかをみていきます。
まず、「引き寄せの法則」はアメリカで登場しました。1908年、エメラルド・タブレットと呼ばれる、錬金術の奥義や宇宙の法則が記されたタブレット(Tablet:石板や木板 語源:板、机の意味のtableに縮小辞がついた言葉)は、メキシコで発見されました。そこで、当時のアメリカをみてみましょう。
【スピリチュアルの起源①】概要
20世紀初頭のアメリカ
20世紀初頭のアメリカは、「信仰宗教の温床」だったといっても過言ではありません。1870年、チャールズ・T・ラッセルがはじめた「エホバの証人(ものみの塔)」が普及しはじめました。ちなみに、モルモン教は19世紀初頭の1830年、ジョセフ・スミス・ジュニアがはじめました。
キリスト教プロテスタントでは、聖霊派という新宗派が発生しました。キリスト教カトリックでは、聖霊刷新運動が起こりました。聖霊派も聖霊刷新運動も正統なキリスト教に属しますが、「一歩間違うとオカルト」「オカルトっぽい」といえます。つぎでお話しするニューソート派の影響を受けているようにみえます。
そして、ニューソート派というキリスト教の一派がありました。「ポジティブ思考」「成功哲学」は、このニューソートから発生しました。1879年にニューソート派のクリスチャン・サイエンスという教団が設立されました。キリスト教ニューソート派に着目すると、ユニタリアン主義(Unitarianism:三位一体を否定し、神の唯一性を強調する)が19世紀から欧米に存在していました。ユニタリアンであるアメリカ人のラルフ・ワルド・エマソンは、鈴木大拙にキリスト教を教えた人として、日本でも有名な人です。このニューソート派が日本に導入されることにより、「生長の家」「幸福の科学」など、巷を騒がせている団体が発生したのです。
19世紀のキリスト教ニューソート派
19世紀に普及したキリスト教ニューソート派をみると、「引き寄せの法則」が理解できます。ニューソート派は、「引き寄せの法則」でいう「宇宙の法則」を、「聖書の神」に置き換えただけです。あとはニューソート派の教理を利用すれば、「引き寄せの法則」が説明できます。
聖書によれば、人は神に似せて創られました。この神が「宇宙の法則」であれば、人も宇宙の一部と言うことになります。すなわち、人の思考は宇宙の一部であり、「誰もが思考したことは実現される」のです。一般的に、引き寄せの法則自体は、ニューソート派と錬金術的思想が結びついて発生したといわれています。ニューソート派から引き寄せの法則がそのまま派生したという論理展開は、私の自論です。信じる、信じないは、各人で判断してください。
19世紀の心霊主義と神智学
後に詳細にお話ししますが、1847年にハイズビル事件が起こります。この事件を発端として、心霊主義が発生します。心霊主義はアラン・カルディックにより体系化され、「守護霊」「背後霊」「ラップ現象」「エクトプラズム」「霊媒師」などの概念を生み出します。
19世紀後半には、ロシア出身のヘレナ・P・ブラヴァツキー(ブラヴァツキー夫人)が活躍し、神智学が世に広まります。この神智学から、20世紀初頭には、瞑想、占星術、チャクラ、オーラ、スピリチュアル・ヒーリングなどが登場します。神智学研究家は、心霊主義を神智学の一部に体系づけました。20世紀後半には、ニューエイジ運動やサイケデリック(Psychedelic:幻覚)に発展していきます。
18世紀のスウェーデンボルグ主義とメスメリズム
キリスト教ニューソート派、心霊主義は、18世紀にスウェーデンで活躍した科学者であり神学者であるエマヌエル・スウェーデンボルグによる独自の聖書解釈と、同じく18世紀にスイスで活躍したフランツ・アントン・メスメルの心理療法に大きく影響されています。この二人がいなければ、先にお話しした19世紀の様々な運動は存在せず、スピリチュアルも発生しなかったことでしょう。研究者によっては、カルヴァン(神学者)に捕えられ処刑された思想家セルヴェトゥス(1533年)までさかのぼります。
愛は、決して眠ることはできない。
エマヌエル・スウェーデンボルグ
まとめ
【スピリチュアルの起源①】概要
21世紀に流行しているスピリチュアリズムの起源は、キリスト教ニューソート派、心霊主義・神智学に端を発しています。その元をたどっていくと、エマニュエル・スウェーデンボルグとフランツ・アントン・メスメルに端を発しています。この二人から様々な人の思考により、現代のスピリチュアリズム(成功哲学や引き寄せの法則、霊能者などの新興宗教を含む)になっています。
著者プロフィール
- 理系大学を卒業し、製造業に携わっているにもかかわらず、西洋や東洋の思想に興味を持ち、コツコツと勉強しています。
引き寄せ2017.12.25パワーストーン① 酸化ケイ素系
チャレンジド1452017.11.22自由と役割について
生と死2017.11.22「本当に生きる」ということ
悟り2017.10.30ヘルメス思想について☆引き寄せの法則の基本思想