夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
前回までは、アメリカでの運動を主にみてきました。そして、心霊主義や神智学、ニューソート主義は、日本にも上陸してきたのです。
今回は、これらの思想がどのように日本に定着したかをみてみましょう。
【スピリチュアルの起源⑬】日本でのニューソート運動 万教帰一
大本
出口なおは明治25年、京都府綾部に住む、57歳を迎える貧しいお婆さんでした。2月3日、出口なおに異変が起こりました。なんと「艮の金神」というモノがなおに憑りついて、色々なことを語りはじめたのです。さらに、字が書けなかったなおが、筆先と称して紙にすべてひらがなの文章を書きはじめたのです。これを後に漢字を当てて、まとめたものが「大本神諭」です。
国家神道が明治政府によってつくられる以前の神道は、おおよそ教祖(巫女)に神のようなものが「とりつく」ことにより発生しています。
- 天理教は、天保9年に、中山みきに「天の将軍」または「大神宮」と自称する神が憑いたことにより発生しました。
- 黒住教は、文化9年、黒住宗忠が、流行り病で父母を相次いで亡くした悲しみから病に伏し、天照太神と宗忠が一体となる体験をしたことからはじまっています。
天理教、黒住教、金光教は、幕末三大新宗教と呼ばれますが、これらのうち2つは、神が人に憑くことにより発生しています。
出口王仁三郎
明治4年、京都府亀岡市で、農家の長男として上田 喜三郎が生まれました。喜三郎は、その聡明さから「八つ耳」「神童」と言われていました。明治32年、出口なおは、神示で喜三郎が待ち人と悟り綾部に招きました。喜三郎は、なおに神懸りした「艮の金神」を「国武彦命」と審神し、綾部に移住しました。そして明治33年、29歳の喜三郎は、出口なおの五女・出口すみと結婚し婿入りし、名前を出口王仁三郎に改めました。その後、出口なおにより神格として認められた王仁三郎は、大本を組織化し、心霊主義などの思想をとり入れていきました。聖書、キリスト教、仏教、儒教、孟子、エマヌエル・スヴェーデンボリ、九鬼文書などをとり入れた王仁三郎の思想は、王仁三郎が書いた「霊界物語」にまとめられました。
世界救世教
世界救世教は、大本の幹部であった岡田茂吉が、昭和10年に設立した団体です。手かざしによる浄霊儀式を各信者がおこなうこと、自然農法という農法の推進、芸術活動の三つをおこなうことを特徴とします。この浄霊の方法は、メスメリーやクィンビーをもとにするニューソート派の治療方法と類似しています。「血をきれいにするお祈りをさせてください」「健康と幸せのため祈らせてください」と無料で手かざしをしていく団体は、この系統です。
崇教真光
昭和30年、世界救世教の教祖・岡田茂吉の死去により、世界救世教は内紛に陥りました。このとき、世界救世教の信徒であった岡田光玉(本名・岡田良一)は独立を決意し、崇高真光という団体を設立しました。数種類ある世界救世教の系統の中で、最も有名な団体です。
仏教、キリスト教、神道、回教、儒教、道教などの大元を説くので、宗門宗派を問わずに入信することができます。これは「神智学」の影響です。また、霊界、幽界、肉体界が存在し、その3つは区別することができないとする三位一体を説きます。これもまた、神智学の影響です。
生長の家
早稲田大学を中退し、大本の専従活動家をしていた谷口雅春は、出口王仁三郎の『霊界物語』の記述や機関紙の編集長など、教団内で重要な地位を占めていました。が、大正11年、第1次大本事件(内務省がおこなった宗教弾圧)を期に、大本から脱退しました。当時流行した、ニューソート派や自己啓発の強い影響を受けました。
昭和4年、ニューソート派の成功哲学を、文筆活動で全世界に宣布するとの志を立てて、「生長の家」誌の執筆をはじめました。昭和5年、神道、仏教、キリスト教に、現代科学を統合し完成したとする「生長の家」誌を出版し、生長の家という団体を設立しました。以下の3つの教えを基本としていますが、ニューソート派と神智学の影響とみてよいでしょう。
唯神実相(ゆいしんじっそう)
「実相」は、現実世界のことであり、唯一絶対神が創造した世界です。実相の世界は、神の徳に満ちています。人は神の子であり、神と自然と人間は、調和しています。つまり、本当に存在するものは、神と神が創造した世界だけです。これを「唯神実相」とよびます。
人間の感覚器官で認識する世界を、「現象」とよびます。現象世界は、目、耳、鼻、口、皮膚で得た一部の不完全な情報を、脳内で構築した世界です。世の中には戦争や病気など、不完全な出来事があるように見えますが、それらはすべて「現象」であって、実際に存在する「実相」ではないと考えています。
唯心所現(ゆいしんしょげん)
「唯心所現」は、「現象世界は、人間の心によりつくられた世界である」という思想です。唯心所現の「心」とは「コトバ」であり、「コトバ」は、行動で表現する「身」、発声音で表現する「口」、心の中で思う「意」の3種にわけられます。唯心所現の法則では、これら身・口・意の三業により、様々な現象世界がつくられるのです。
唯心所現の法則は、厳密かつ公平であり、悪いコトバを使えば、悪い世界が現象世界に現れます。善い世界を実現させるときは、実相世界の善きコトバ・神様の御徳である智慧・愛・生命を、コトバで表現すればよいのです。
万教帰一(ばんきょうきいつ)
「万教帰一」とは、万の教えを一つ(生長の家)にするという意味ではありません。これは後ろから読んで、一つの教えが万の教えとして展開していると説いています。宗教に違いがあるのは、国や地域、民族によって服装が違うように、宗教も文化的な違いが現れているからだといえます。目玉焼きにたとえると、中心部分の黄身を普遍的な根本真理と見立て、それぞれの宗教が共有していると考えます。一方、周縁部分である白身は、文化、民族、時代などの違いによって変化している部分だと考えるとわかりやすいでしょう。世界の各宗教が、この中心部分(黄身)の共通性と、周縁(白身)の多様性をお互いに認め合うことによって、宗教間の対立は消えることになります。それを端的に表わした言葉が「万教帰一」の教えなのです。
何故か日本では、宗教が敬遠されています。きっと、国家神道や廃仏毀釈にあった仏教、そして様々な信仰宗教に、嫌気がさした結果なのでしょう。うさんくさいとか、時間と金銭がとられるので面倒と宗教を否定する心の奥底には、このような日本の歴史的経緯があるのです。だけど、心の拠り所がなにかほしいと考えている人も多いのです。このような人は、面倒で型にはまった宗教よりも、スピリチュアルを選ぶのです。日本人は、ワンネスやニューエイジ・ムーブメント(ジョン・レノンのイマジンのようなもの)も、意味もわからずとり込んでいます。
このようにして、ほとんどの日本人が「私は無宗教です」と答える一方で、バチカンからは「日本はニューエイジ輸出国」とみなされています。
自分が出世するのも、
富豪になるのも、
運がよくてなるのではなく、
運というものはみな
自分がつくるものなのです。
谷口雅春
まとめ
【スピリチュアルの起源⑬】日本でのニューソート運動 万教帰一
あなたも、パワースポットや癒しブームや100万人のキャンドルナイトなどなど、なにか宗教っぽいことをしたことがあるでしょう。無宗教を自負しながらも、よく考えたら宗教っぽいものを実行しているのが、日本人なのです。
参考:磯村健太郎著「スピリチュアルはなぜ流行するのか」PHP新書56ページ
著者プロフィール
- 理系大学を卒業し、製造業に携わっているにもかかわらず、西洋や東洋の思想に興味を持ち、コツコツと勉強しています。
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