夢を叶える145☆セルフイメージの変容と引き寄せ
19世紀中頃に、心霊主義が登場しました。ハインズビル事件という出来事がきっかけとなっています。
19世紀後半には、この心霊主義を包括し、心霊主義の上位概念と自称する「神智学」が登場しました。オーラ、守護霊、背後霊、地縛霊など、現在のオカルトでよくでてくる思想は、この心霊主義に端を発しています。
【スピリチュアルの起源⑤ 】 心霊主義と「10個の法」
ハインズビル事件とは
1847年、ニューヨーク州ハインズビルの農場に、フォックス一家が暮らしていました。フォックス一家は、両親とその二人の娘で暮らしていました。そして、この農場には、幽霊がでるという噂が立っていました。フォックス夫人は、つぎのように語っています。
幽霊のようなものが、下の娘と遊んでいました。
娘が指を鳴らし、壁からの物音が、
指の音に答えるのです。
私は、口を挟んでしまいました。
物音に対し、
「20まで数えてみて」
と言いました。
音は、20回鳴りました。
さらに、言いました。
「あなたが人間なら、1回鳴らすように。
霊なら、2回鳴らすように」
と。
すると、物音は2回聞こえたのです。
このようにして、霊との交信がはじまったのです。霊の名前や、生前の職業なども判明しました。また、この現象は、二人の娘(マーガレットとケィティー)が、霊媒師の役割を果たしていたこともわかりました。この話は、当時のアメリカ中に広がり、衝撃的に「成功」しました。キリスト教会からは公式に破門され、フォックス一家はニューヨークに移住しました。この一家の影響で、いままで自分が霊媒であったと知らなかった人が、続々とでてきたのです。1852年には、第一回心霊主義会議が開催され、1854年には、1万人以上の霊媒、300万人の以上の「信者」を数えました。さらに、アメリカからヨーロッパ圏へと、心霊主義が広がっていきました。
アラン・カルディックの登場
ハインズビル事件以降、霊媒師や霊媒師の信者など、心霊主義の人がまたたく間に増えました。アラン・カルディック(1804~1869)は、心霊主義を体系化しました。アラン・カルディックという名前は、霊との交信の際に授けられたらしく、本名はイポリット・レオン・ドゥニザール・リヴァイユといいます。ちなみに彼は心霊主義を、「霊の実在、顕現、教示を基盤とする教義」と定義しています。
宇宙創造論
アラン・カルディックの「霊の書」は、信仰問答集の形式を採り、心霊主義を採用しています。神は、至高の知性、万物の第一原理、永遠、無限、不動、非物質、唯一、全能、公正無比で善良であると述べています。そして、神が存在する証拠は、宇宙の調和としています。神は、どのような存在かを人は知り得ないとする不可知論を採用し、神が少なくとも「何ではないか」のみを知ることができる、と主張しています。
宇宙は、創造主の神、霊(精神)、物質の三位一体であり、この3つに加え、流体が加わります。流体は、動物的生命の源泉で、霊と物質の媒介であり、電気的・磁気的物質であり、その一形態を霊体のうちに見ることができる、と主張します。流体思想はメスメリズムにもみられ、メスメラーの影響と推定されます。
霊の解釈
アラン・カルディックは、霊について、つぎのように解釈しました。
霊や魂は、神の意思により、普遍的知性と呼ばれる霊的原理から生まれました。だから、霊には始まりも終わりもあるのですが、人間にとっては神秘なのです。そして、霊的世界は自然世界に先行して存在し、両者は相互作用し、霊も自然も人間に入り込んでいるが、それぞれは独立しています。
来世において、霊たちは共同で暮らします。上級霊の世界や、軽薄な霊の世界などは、ありません。霊たちは親和性によって自然にグループをつくり、霊的家族を形成します。また霊は、地上と違い、考えていることを何一つ隠すことはできません。
霊には、つぎの序列が存在します。
①不完全な霊
- 知性に対する、物質の優位。
- 悪に向かう性向。
- 無知、高慢、利己主義、嫉妬、ありとあらゆる悪しき情念。これらの霊は、神を直観していますが、全く理解していません。
- 彼らは、幸福ではありません。それは死によって失ってしまった地上の悦びと、自分たちには許されない善良な霊の幸福が、彼らには責苦となるからです。
- 不浄な霊
- 軽薄な霊
- 知ったかぶりの霊
- 害は行わないが、物質に執着している霊
- 混乱をもたらす霊
の5階級に分かれています。
②善良な霊
- 物質に対する、精神の優位。
- 善への欲求。
- まだ、完全に非物質化していないので、それぞれの地位に従って、思考習慣のなかに肉体生活の痕跡をとどめています。
- 神と無限を理解し、すでに善良な者の至福を味わっています。
- 善意の霊
- 知性の霊
- 賢者の霊
- 知識と叡知と善意を合わせもった霊
の4階級に分かれています。
③純粋な霊
- 物質の影響が、皆無。
- 他のクラスの霊に較べて、知性・道徳の面で、絶対的に卓越しています。
- 天使などが、このクラスに属します。これらだけが、霊や人間を教化啓蒙し、序列の階梯を上がらせることができます。
- 天使は天使として、悪霊は悪霊として創造されたのではなく、霊はクラスがあがっていくのです。
死について
霊や人間であることは、誕生や死によって生じる状態の変化にすぎません。死に瀕している人は、肉体器官が断絶されるため、霊体からの生命流体・宇宙流体の流れ込みが途絶えます(この思想は、メスメリーやクインビーの影響と思われます)。生命流体の断絶が、死なのです。その後、魂は霊体に包まれ霊となるわけですが、これが肉体から離脱するのには、個人差があります。ある人は、自分が死んだことすらわからないで、肉体のまわりにしばらく留まります。
道徳
霊の価値をきめる道徳は、10個の法にわけられます。神が、「善人に褒美を与え、悪人を罰する」必要はありません。善や悪は、自分の進む方向を決めます。
- 善は、愛と創造の方向に進み、幸福の種子をも含んでいます。
- 悪は、その逆であり、苦痛をもたらします。
つぎに、10個の「法」を示します。
- 崇拝の法・・・人類の宗教的基盤に属すこの法は、魂と神の融合です。祈りによって、私たちを助けてくれる善霊を、呼び集めることができます。
- 労働の法・・・地上的様相における、人間と生物の肉体性に由来する法ですが、地上世界だけではなく、様々な試練世界にも通じています。これは、霊の進歩の道筋です。
- 再生産の法・・・進歩を望む霊に、肉体を提供する神聖な法です。
- 保存の法・・・人間は、自分や仲間の生命を、尊重しなければなりません。
- 破壊の法・・・物質の法です。
- 社会の法・・・人間は、仲間と共にいて、仲間に奉仕すること以外に、進歩する方法ありません。
- 進歩の法・・・文明は、ゆっくりと進歩します。知性と道徳的能力の2つの力は、最終的にバランスがとれるようになります。
- 平等の法・・・平等は、自然的です。不平等は、物質的であり、私たちの行動によって発生します。こう考えると、不平等は一つの教訓になります。
- 自由の法・・・私たちは、肉体によって行動が制限されていますが、思考や判断は自由です。自由は神聖であり、良心や精神を抑圧する者には、罰が下されます。
- 正義と愛の法・・・正義の基準は、地上のいかなる基準からも、独立しています。自分のために望むことを、他人のために望まなければいけません。すなわち、神への愛ゆえに、自分自身と同様に、他人も愛さなければいけません。
人間は、
自らが置かれている社会や隣人に
有用な存在となるために生まれている。
エマニュエル・スウェーデンボルグ
まとめ
【スピリチュアルの起源⑤ 】 心霊主義と「10個の法」
- 心霊主義は、ハインズビル事件により引き起こされました。
- アラン・カルディックは、心霊主義を、スウェーデンボルグ主義やメスメル主義、伝統的キリスト教を土台にして、体系化しました。
参考:イヴォンヌ・カステラン著、田中義廣訳「心霊主義-霊界のメカニズム」白水社
著者プロフィール
- 理系大学を卒業し、製造業に携わっているにもかかわらず、西洋や東洋の思想に興味を持ち、コツコツと勉強しています。
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