【奇跡の女~アンの物語⑥】アンと良子 By neneco 「9時までには、帰ってこなあかんで!」 母の声を聞き終える前に、私は家を飛びだしていた。真冬の寒空の下、短いスカートに、なれないブーツをはき、母の赤の口紅を塗り、精一杯の大人びた格好ででかけた。なんとか17歳にはみえないように。 [Read more…]
【奇跡の女~アンの物語⑤】手紙 By neneco ない。 どこを探しても、ない。 ヴィトンのバッグがない。 高校生の時、雑誌の中の、すごく大人っぽいモデルさんが持っていたヴィトンのバッグで、ずっと憧れてて、はじめてのバイト代でドキドキして買ったものだ。大切に、白い専用の袋に入れてしまっていたのに、どこにもない。 三四郎に聞いても、知らないし、見たこともないという。 実家に電話して、母に聞いても、知らないという。 [Read more…]