旧約聖書のなかでは、「バベルの塔」は神の怒りにふれ、人々の言葉はバラバラにされ、塔の建設はできなくなりました。
オランダの画家ブリューゲルは、「バベルの塔」の絵を描きました。人間が天国をめざして、高い塔を建てている様子が克明に描かれています。ブリューゲルの生きた16世紀のヨーロッパは、ルネサンスと宗教改革のあったときです。それまでの中世的な世界観に代わって、新しい世界観が生まれました。天文学では、天動説からコペルニクスの地動説が発表されました。「人間の領域」が大いに広がっていった時代です。神の怒りをかったバベルの塔ですが、ブリューゲルの目には、バベルの塔は人間のたくましい意欲の象徴に見えたはずです。